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辛い気持ちになってウツ気分になったとき、その原因を疑うことでマイナス思考にブレーキをかけることができたなら、次には「別の考え方はできないだろうか？」という視点が役に立つことがあります。 たとえば、あなたがワンマン社長のもとで働く社員だとしましょう。 ある取引に関して、社長の主張する意見にどう考えてもあなたは納得できないとします。しかし、あなたは波風を立てるのを避けようとするあまり、社長に反論することはできません。 臆病な気持ちに押されて、自分では白だと思うものでも、社長が「黒」と言えば、「黒」と言ってしまうような状態で、社長の言いなりになって苦しんでいるのです。そのとき、 「自分が正しいと思うことすら言えず、泣き寝入りしてしまう今の関係から、はたして健全な関係を築いていけるのだろうか？もし、オレが自分の意見を口にしたぐらいで壊れてしまうような関係だとすれば、社長とオレの関係はその程度の関係であって、壊してしまってもいいのではないか？」 と、一歩引いて考えてみることができれば、解決の糸口をつかんだも同然です。 ★ 自分の立場を、他人の視点で客観的に考察してみる また、そういうときには、自分という人間をひとまず横に置いて、「他人だったらどう考えるだろう？」と意識してみることも有効なことがあります。 「自分の親が生きていれば何と言うだろう？」 「あこがれの先輩だったらどうするだろう？」 「親友のAだったら、何て言うかな？」 「尊敬する西郷隆盛なら、どう対処するだろうか？」 というように、家族や友人、尊敬する人物の視点を持つことで、主観的にではなく、客観的に物事をとらえることができるはずです。 一流のミュージシャンゆスポーツ選手、ビジネスマンなどには、ものごとを俯瞰的に見る人が多いといわれています。そういう人は、どんなにエキサイティングな状況でも、我を見失うことがあまりなく、「何だかもうひとりの自分が、どこからか自分を見ているような冷めた感覚」を、心のどこかに持っているようです。 あるいは、過去の辛さから立ち直ったときにきっかけになった、自分だけの勝利の方程式ともいうべき言葉や、心のカンニングペーパーのようなキーワードを思い浮かべることができれば、フッと力みが抜けるかもしれません。 「不可能だと思った仕事が、できたこともあったじゃないか」 「ダメもとでいいじゃないか」 「好きな酒でもそれだけ飲んでいれば体を壊すように、すべてが思い通りになってもそれが正しいという保証はないのでは？」 「5年後に後悔しないためには、いまどうしたらいいのか？」 「そう考えたのは、もちろん根拠があったからだけど、100パーセント正しいとも言えないはずだ」 「イヤな兆候があるのはたしかだが、結果はそれほどひどくはないのではないか？」 「あの人には、悪いところだけでなく、いいところもあるはずじゃないか」 「いまなら常識と思えることでも、以前には非常識だといわれていた考えもある。だとしたら、これが将来も常識であり続けるとはかぎらないではないか？」 このように、広い視野から多面的にものごとを見つめる習慣は、感情に飲み込まれることなく、理性的に問題に取り組むために役立つ方法です。 |
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