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みなさんは「ダウジング」という遊びをご存知でしょうか。 おもりをヒモにぶら下げて手に持ち、目の前に静止させておきます。頭のなかに円をイメージすると、自分では手を動かしていないのに垂れ下がったおもりが勝手に円運動を始める、というものです。 実際にやってみますと、不思議なことにこれが本当に円を描くのです。 手品のようなこの現象のタネを明かすと、頭のなかのイメージが無意識のうちに筋肉に微妙な運動をさせているというのが真相のようです。 じつは、これと同じようなことが、人が落ち込んだり、めげたりする過程でも起こります。「不幸な予言」といわれるものです。 ★ 不幸な予言をもつと失敗に陥りやすい ここにひとりの男性がいます。 彼は、自分が女性にモテないと思い込んでいるので、好きな女性ができても近寄ろうとしません。それは、「何もしないぞ」と決心しているからというより、「どうせフラれるから・・・」という予言が彼に消極的な態度を取らせているといったほうが正確でしょう。 自分からは何も行動を起こさないのですから、その女性が好意を持つはずがないのですが、実際に相手が好意を示さないと 「ほら見ろ、やっぱりフラれた」 と、自分の予言が正しかったという妙な確信を持ってしまいます。 このように、人は自信のもてないことや苦手意識のあることに対しては、自分自身であらかじめ悪い結果をイメージしてしまうところがあります。 すると、頭の柔軟性を失い、問題や困難を克服するチャンスや選択肢をみすみす逃してしまい、結果的にイメージしたとおり失敗を犯すことになるのです。 さらに、予感が当たったことで「やっぱり自分はダメな人間なんだ」と自分の能力のなさに確信を持ってしまうと、不幸を予言しようとする傾向はますます強くなっていきます。 この男性も、積極的に女性にアプローチしていれば、もしかしたらうまくいく可能性もあったわけですが、行動ではなく不幸の予言をしてしまったことが、失敗の確率を高めてしまったわけです。 ★ こうした心の動きは、仕事のうえでもよく見られる 営業で新しい商品を売り込んだり、大勢の前でプレゼンテーションしたりという未知の試練にチャレンジするときには、誰でも不安になるものです。ですが、それが「失敗するかもしれない」という悪い想像にまで発展してしまうと、うまくいくものもいかなくなります。 不安を抱えたまま勧めた商品など誰も買ってくれませんし、自信なさげな説明も説得力に欠けます。 そうした後ろ向きの想像や予言は、人の生き方そのものにかかわることもあります。 ★ フリーターなども自分で人生の可能性の芽を摘んで「次もどうせダメだ」と思い込む傾向がある 彼らの多くは、 「自分はたいした人間じゃないから」 「オレはこういう人間だから」 と自分の能力に見切りをつけて、チャレンジすることをあきらめてしまっています。 あるいは、成功という結果を急ぎすぎて失敗する若者もいます。 成功したり、自分が望むものを手に入れたりするには、たいていは努力というステップを踏まなくてはなりませんが、若者のなかにはそれを知らない人がいます。または努力したくないために一攫千金を狙う人がいたりします。 追いつめられると、人はギャンブラーになりますから、一発逆転を狙います。そうなると、考え方が極端化していき、柔軟性を失ってしまうのです。 「まずい、周囲の知り合いは、どんどん就職していく、自分だけが取り残される」 そんな焦りも手伝って、ますます一発逆転を狙い、それがうまくいかないと、「もういいや」と、その後どうすべきかを考えることをやめてしまう人もいます。 考えないようにしたほうが楽な気持ちでいられるからです。 そうした安易なあきらめが、生き方の選択肢を狭め、結果的に人生の可能性の芽をつぶしてしまっているのは本当にもったいないことです。 ★ 成功している自分をイメージしよう 面倒や失敗を避けて何もしないのは、のちのち人生の後悔という大きなツケになって自分を苦しめることになります。 ですから、「僕なんかもういいんだ」という言葉が心に浮かんできたら、こう問いかけてみてください。 「本当にもういいのか?」 「本心ではどう思っているの?」 「やりたいことがあるんじゃないの?」 自分のやりたいことができずに辛い気持になるのは、おそらく自分に対する期待が高すぎるためでしょう。期待が高いからこそ、いろいろ考えて悩み、先回りして失敗を予言してしまうのです。 それは人の資質ともいえますし、善し悪しの問題ではないかもしれません。ですが、それが原因でイライラしたり、眠れなくて悩んだりしているとしたら、そのままにしておいていいはずがありません。 せっかく自分に期待しているのなら、たまには成功する自分の姿を、努力する過程も含めて想像、予言してみてはどうでしょう。もしも、その予言どおりにうまくいけばもちろん幸福になれます。そして、もし予言が外れて失敗したり、挫折したりしたなら、そのときには悔しがればいいのです。 そのほうが、チャレンジしないで悔やむよりも、心にはよほど健康ですし、その悔しさが 「次はこうしよう」 「今度は絶対にうまくやってやる」 という、問題を現実的に解決するための前向きな気持ちにつながるはずです。 |
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