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辛さの正体がはっきりしたなら、次には、不安だ、元気が出ない、寂しい、誰かに甘えたい、イライラする、死にたいほど落ち込んでいる、といったふうに、辛い気持ちを言葉にして認識していくことが大切です。 このとき、ただ感情を吐き出すだけでなく、その感情がどれくらいひどいものなのかを、具体的に評価しようとしてみると、冷静さを取り戻したり、辛さを和らげたりするうえでしばしば効果を発揮します。 ★ 辛さを具体的数字にしてみる たとえば、あなた自身が過去に体験した辛さの感覚に照らし合わせて、「まだ50パーセントだ」とか「80パーセントまできた」というように、いちばん辛かったときの気持ちとの比較を数値であらわしてみるのです。 人は、気持ちが辛くなると、すぐ短絡的に「最悪だ」「もうダメだ」と、問題を悪い方向に120パーセント過大評価してしまう傾向があるものです。 こうした作業をひとりでできればそれに越したことはありません。ですが、感情と理屈は別ですし、辛いときには感情が勝っていますから、うまくいくとはかぎりません。そんなときに周りの人に感情を打ち明けて聞いてもらうことも有効でしょう。 ★ 誰かに打ち明けたり日記を書くことで辛さが具体的になる 会話や電話、あるいはメールなどで他人に打ち明けるときに、苦しい、もうダメだ、というだけでは相手に分かってもらえません。分かってもらうためには、どの程度辛いのかを具体的な形で伝える必要があります。それが、おのずと自分の抱える問題や悩みを整理することになるのです。 また、他人に相談することが苦手なら、日記に書いてみるのもひとつの方法です。この効果は、問題を整理することがひとつ。もうひとつは、何日か後になって読み返したときに、「自分は思い悩むとこんなにもバカげた、偏ったことを考えるクセがあるのだ」と気づけることです。 これは、感情が高ぶったまま書いたラブレターと同じです。冷静になって、自分の考え方のクセをじっくり把握することが、考え方のゆがみを修正するきっかけになりえるのです。 こうした作業を、歯を食いしばって少しずつ進めていくことで、問題解決のための次のステップに踏み込んでいけるのです。 ただ、誰かに話を聞いてもらっているうちに自分で整理ができて、辛い気持ちから立ち直れる人が一方、それだけでは不十分な人もいます。 ★ 話を聞いてもらうのは自分の悩みを整理するのが目的 ここで大切なのは、他人に話を聞いてもらうのはあくまで選択肢のひとつだと割り切ることです。もしかしたら、ときには相手が解決策の即効薬をくれるかもしれませんが、いつも得られるとはかぎりません。 話を聞いてもらうのは、自分が抱える問題や気持ちを整理するのが目的であるという程度に考えましょう。 ★ あくまで問題を解決するのは自分自身 解決するのはあくまで自分自身、それさえはっきり理解しておけば、他人に依存しすぎることはありません。 「いまは、一時的に助けを借りているんだ」 と割り切れれば、 「こんなことも自力で解決できないなんて、自分はなんてダメな人間なんだ」 と落ち込むこともなく、思い切り他人に話すこともできるでしょう。それは、相談相手の心理的な負担を減らすことにもなります。 たとえば、忙しさのあまり、激してストレスを感じているビジネスマンが、同僚に辛い気持ちを分かってもらおうと話をします。 日頃の仕事ぶりや人間関係について、同僚から質問を受けながら話をしていくうち、忙しいのは仕事の処理能力が足りないからではなく、責任感が強すぎたり、人に頼むのが苦手だったりするために、何でも自分ひとりで抱え込んでしまうのが原因であることなどが見えてきます。 それがわかれば、自分なりに仕事のやり方を変えようとかん換えられますし、同僚から何らかのアドバイスも受けられかもしれません。 |
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