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あなたは、火事で燃えさかるビルから人が飛び降りる映像を見たことがあるでしょうか。 はたから見れば、どうしてあんなことをするのだろうと不思議に思えるかもしれませんが、ビルのなかに取り残された人々にとっては、火災によって発生した煙や熱さは耐えられないほどすさまじいはずです。 煙から逃れるために、ビルから飛び降りる。精神的に追いつめられた結果、飛び降りたほうが楽だという考えが頭の中を占めてしまい、あのような行為に及ぶのです。 ★ 心に余裕がなくなると思考が硬直化する このケースのように、人というのは、余裕がなくなってくると、思考が硬直化して極端にものを考える傾向が強くなります。ビルから飛び降りた人も、日ごろ家族に囲まれて平和に暮らしているときには、たとえビルに取り残されたとしても飛び降りることなど想像もつかなかったことでしょう。 あの煙は、日常生活でいうなら、自分を苦しめる社会的なものにたとえることもできます。それに苦しめられて本当に辛くなりますと、最後には生きるか死ぬかしか考えられなくなります。 ★ 結論を急いで焦ってしまうと、究極の白黒の二者択一になる 生きていても、問題に苦しめられるばかりで辛い。じゃあ死んでしまおうか。死ぬことをイメージすることは不可能なので、楽に思えるのでしょう。しかし、それが間違った選択であることはいうまでもありません。 生死を考えるところまでいかなくても、人は思い詰めると、あいまいな状態が許せなくなり、常に白黒をつけないと気がすまなくなります。その結果、完璧主義者になってしまい、ささいなことに一喜一憂して振り回され、ますます疲れて辛くなるのです。 二者択一的な思考で、結論を急がずにはいられなくなるのは、「辛い状態から一刻も早く抜け出したい」という願望が心を支配しているからでしょう。それが焦りを生み、ますます自分を追い込んでしまうことが多いのです。 恋愛にしても、恋人にちょっと冷たくされただけで「きっともう別れたいと思われているんだ」と落ち込む。 これらはすべて、結論を急いで偏った考えに陥ってしまった例といえるでしょう。 そんなときには、スイッチを白でも黒でもない「グレーゾーン」に合わせることも大切です。 ★ 辛さから抜け出すためには人に相談するのもいい あなたが同じような状況にいるとしたら、こう考えるといいでしょう。 「いま、自分はオール・オア・ナッシングで考えている。だから辛くなるのだ。自分の理想を100とすれば、いまは30の状態かもしれない。それでもゼロよりはマシなはずだ。欲張らずに、問題をひとつずつ解決して、70,80と上げていけばいい」 そう考えられれば、心にも余裕ができて周りの状況が見えてきます。 95点しか取れなかったのなら、取りこぼした5点の問題をなぜ間違えたのか考えてみることです。 病気が見つかったのであれば、「早い時期に見つかったのは幸運だった」と受け止めて最善の治療法を探してみる。冷たい態度をとる恋人には、その理由を尋ねてみる。そうすることで、辛い気持ちも少しは楽になるはずです。 そしてもうひとつは、信頼のおける人に相談したり、悩みを打ち明けて精神的な支えになってもらったりするのも、辛さや「うつ」から抜け出す早道です。 そういった人からの助言やアドバイスのなかには、あなたが立ち直るきっかけになるようなありがたい言葉があるものです。 |
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