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ささいな失敗をしただけ、あるいはものごとが自分の思い通りにならないだけで、すぐに落ち込んでしまう人がいます。 そういう人は、何かというと自分は人生の敗者、失敗者だと決めつけてしまいがちで、自分自身に失敗者というレッテルを貼ってしまっているわけです。 ★ 自分自身で敗者とか失敗者だというレッテルを貼らない じつはこれも、考え方がゆがんでしまったひとつの例といえます。 たとえば、株で失敗して大損害を被ったり、試験に落ちたりして、 「オレの人生はもう終わりだ!」 と嘆く人がいるとします。 しかし、客観的に考えてみれば、株での失敗や試験に落ちることがそのまま、人生そのものの終わりを意味するわけではないことはすぐにわかります。それにもかかわらず、ひとつの失敗を人生そのものの失敗と同一視して、安易にレッテルを貼ってしまうと、もう一度チャレンジしようという気持ちが湧きにくくなってしまいます。 すぐにものごとを悪いほうに考えてしまったり、「私は嫌われているのでは?」という不安を抱いたりするのも、同じように考え方がゆがんでいる例といえます。 そうなると、いくら強靭な精神力の持ち主であっても、いったん貼ってしまったレッテルをはがすのは容易ではありません。 ★ では、どうすれば考え方を修正して、レッテルをはがすことができるのか? そのためには、頭で理屈をこねるだけでなく、まず行動することで経験を積んでいくのも大切だといわれています。 何についてもいえることですが、理論だけでは、机上の空論になって生兵法になってしまうし、経験だけでも応用性に欠けて独りよがりになりがちです。 みなさんは、友人に悩みを相談したら、的はずれの分析を、さもわかった風にされて、よけいにストレスになったという経験はないでしょうか。 聞きかじりの知識や理論だけでは悩みは解決できません。自分の経験と重ね合わせて、他人の悩みを分析することによって、はじめて実践的なアドバイスができるのです。 じつはこれは、科学の世界では当たり前に行われていることです。 科学では、まず仮説を立ててそれが正しいかどうか実験をします。その結果が仮説と異なる場合、 「こんなはずはない」 と実験方法が正しかったかどうかを考えると同時に、そもそも仮説自体が間違っていたのではないかと疑います。 また、絶対に正しいと信じられていた定説が、実験によって覆されることもあります。それを実験もせずに、理論をこねくり回しているだけでは、何の進展もありません。 ★ 定説は経験によって覆される 絶対に信じていたことが、経験によって覆され、定説が変わる。これは、まさに人間が考え方を変えるときにはなくてはならないプロセスそのものです。 絶対に飛べるはずがないと信じ込んでいた跳び箱も、いったん跳んでしまえば、それが当たり前に思えます。あるいは、「あんな鉄の塊が空を飛ぶはずがない」と飛行機を乗るのを怖がっていた人が、何度も乗るうちに恐怖心がなくなる。これも、経験によって考えが変わった例といえるでしょう。 不安を先取りして、悲観的な予測を立てても、やってみたらその予測が外れることはけっこう多いものです。ですが、もしも最初からあきらめたり、拒絶したりして、チャレンジせずにいたら、悲観的な予測がいい意味で裏切られるという経験はできないはずです。 そうした予測と、いい方向に裏切られる経験の繰り返しが、ゆがんだ考え方を修正するためには有効なのです。 ★ チャレンジして行動することがウツを克服するにはいい方法 行動なくしてウツ的な考え方は変わりにくいです。 いい結果が出ないからといって、すぐに悪いレッテルを貼って、チャレンジをやめてしまってはいけません。チャレンジという行動を続けることで、考え方の悪いクセが抜け、ひいてはいい結果をもたらすのです。 そのとき、「大丈夫だよ、跳んでごらん」と、ためらっているあなたの背中を押してくれたり、サポートしてくれる人を探して、味方になってもらうことも重要なことです。 |
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