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ひと昔前には、「仕事の命」とか「仕事が趣味」などといって、仕事一筋にまい進していた企業戦士といわれる人がいました。 その当時は、日本の景気も右肩上がりで、誰もが将来の夢を語り、理想に燃えていた時代でしたが、現在では、右肩下がりの経済となり、前途に希望をなくしたようになりました。 かつては、家庭をほったらかしにして仕事に逃げ込んでいた人が、燃え尽きた企業戦士になり、仕事が逃げ場所でなくなると、困った事態になり、もはや逃げ込む場所がなくなってしまったのです。 そういう人たちが、精神的ストレスから逃れるために、仕事ではなく、何か精神が集中できるような趣味を持つことが大切になっています。打ち込める趣味さえあれば、うつにならない確率が高くなるだけでなく、うつ状態になっても、しのぎやすいです。 ただ、趣味に打ち込めといわれても、ふだんから趣味を持っていないと、かんたんに見つかるものでもありません。 そんなとき、自分の学生時代を思い起こしますと、「あのときはテニスに打ち込んでいたなあ」とか「そういえば囲碁部でかつやくしていたなあ」などという記憶がよみがえるのではないでしょうか。スポーツ、音楽、映画、美術、釣り、山歩き、草木の栽培。それらをもう一度やってみるのはどうだろう。 人は年齢とともに性格や気質も変わるから、かつて熱心に打ち込んでいた趣味に、もはや関心が持てないという人が居るかもしれませんが、そんなときには、新たな世界に挑戦してみるのも一興でしょう。 趣味を持つと、同好の人たちとの交流が生まれやすいし、企業社会でのつき合いとは違った世界が広がります。そこでは、まったく別の喜びがあり、別の価値観があるなどして、新しい自分を発見することもあります。 自分の心の暗がりを見つめるのではなく、外の世界に眼を向け、外の世界とつながりを持てば、それだけでうつ状態は軽くなります。 新しいことを始めるには、思い切りのある決断力を必要としますが、うつ状態のときには、そういう気持ちにならないもので、そんなことを試みるのはバカらしく思えます。けれど、引っ込み思案ではなにごとも始まりません。 人間は新しいことに挑戦するには、つねに「えいや!」という気持ちで、飛び込むしかないのです。 |
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