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テクノ依存症は、テクノストレスのひとつで、コンピュータがないと不安になったり、動悸がしたりするようになり、人間関係がおろそかになるというのが主な症状です。具体的には人を非難するようになるとか、何かを選択したがるといったものです。 パソコンその他のОA機器は、機器のメカニズムを知る必要はなく、使い方を知ればよいだけであるため、もともと小学生程度でも使えるようにつくられています。習熟期間に個人差はあっても、やっていれば最終的には使いこなせるようになります。 「習うより慣れろ」で、実際に使っていれば、とにかく自分のニーズをみたす水準に到達することはできるものです。 そうなれば、もはや劣等感も恐怖感もありません。 問題なのは、テクノ依存症です。 現実に不満があり、うつ傾向が強く、対人不適応の傾向がある人には、パソコンは格好の逃げ場となりやすく、手段にすぎないパソコンが目的化してしまうのです。 パソコン相手なら、上司のように文句を言わないし、いつでも、どこででも相手をしてくれるし、自分の指示を忠実に守ってくれる部下にもなります。 その部下は、裏切らないし、会話もしてくれます。さらに現実よりも現実らしい映像を見ることができ、好きな音楽も聴けます。 このようなパソコンのとりこになった人をパソコンから引き離すのはむずかしい。 人間の思考は、複雑な情緒で成り立っており、もちろん矛盾も内包しています。言葉は、その話すトーンの抑揚で、同じ言葉でも、さまざまな意味合いをもって相手に伝わるし、自分の都合だけで変更したり削除したりもできません。 そこに現実の人と向き合うむずかしさがあると同時に、楽しさがあり、それが対話というものでしょう。 パソコン相手では、そもそも対話が成立しません。ネットでのチャットなどもありますが、あれは単なる情報交換であって、怒りや憎しみもないかわり、心からの共感や友情は成立しません。 パソコンにのめりこんで思考回路までデジタル化してしまうと、思考が平板になって感情表現がうまくできず、おもしろみのない、心の貧しさを感じさせる人間になります。 これもひとつの抑うつ状態といえます。 自分がパソコンに逃げ込んでいないかどうか、パソコン好きの人はときどき自分をチェックしてみることです。 |
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