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うつ病の人は几帳面でまじめな人が多く、深い自責の念を持っていることなどが特徴ですが、最近では、他社に責任転嫁する患者が増えてきたようです。 これが「責任転嫁型うつ病」つまり「新型うつ病」の出現です。 この新型うつ病は、うつ病ではないと考えている精神科医もいます。 こんな自己主張ばかりして、他者に責任をなすりつけるような人が、従来のうつ病と同じであってはならないと考えているのです。 しかし、「新型うつ病なんてうつではない」と言い切れないところが、この病気の難しさでもあるようです。彼らは彼らで、それがたとえ仕事などの限定された場面であっても、気分の浮き沈みに苦しみ、疲弊していのは事実です。世間からはただの「甘ったれ」「自己チュー」などという目で見られがちですが、実際に彼らはうつ病に当てはまる症状を呈しているのは事実のようです。 この「新型うつ病」が一般に知られるようになったのは、精神科医の香山リカさんの『仕事中だけ「うつ病」になる人たち――30代うつ、甘えと自己愛の心理分析』(こころライブラリー、2007年) 、『うつ病が日本を滅ぼす！？』（創出版 2008年）などの中で、新型うつ病の実例を挙げて、これが本当にうつ病なのかと疑ったようです。 これまでのうつ病では、その多くが「私がだらしないからこうなってしまった」「周囲に申し訳ない」と自分を責め、周囲に対して罪悪感を強く抱く傾向があります。 最近は、最初から「会社が理解してくれないから、そのストレスでこうなった」「こうなったのは家族のせいだ」と自らのうつ症状の原因を特定し、その人たちへの不満を表明する人も少なくなく、休職などに伴い、周囲に負担をかけることに対する罪悪感も、あまり感じていないということです。 こんなことから、多くの精神科医は当初は、「新型うつ病」をうつ病とは考えていなかったようです。 「仕事のときだけうつになる」「他人のせいでうつになる」なんて話は、一見、単なるなまけ者、あるいはわがままにしか思えなかったからでしょう。 従来のうつ病なら、なにをしても気分が落ち込む。これに対して新型うつ病は好きなことをしているときは落ち込まない。ところが、イヤなことをすると激しい抑うつ症状が現れるというのです。しかも、その原因は、自分ではなく他人にあると訴えるようです。 また、抑うつ症状は間断的で、急に気分が落ち込んだと思うと、すぐに気分が晴れるような急激なアップダウンが繰り返されるというのです。 そこで、彼らのなかには、単にうつ病を装っている者がいる、言い訳のためにうつ病になっている。いわゆる「仮病」「詐病（さびょう）」ではないか、と疑う声も上がったわけです。
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