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私はうつになって二年半も患っていた。 半年くらいで治ると思っていたものが全然治らない。 薬を飲んで安静にしている、自分の好きなこともしている、公園に行って散歩だってしている、太陽の光も浴びるようにしている、この頃にはジムにも通っていた。 「それでなんで治らないんだ!」 むしろ悪くなっている気がする。 心がどんどん壊れていくのを感じていた。 この頃にはあまり感情が湧かなかった。 なんか嬉しいとか楽しいとか思わなくなっていた。 ただただ生きているだけ。 人間的な感情が乏しい。 ほとんど皆無だ。 お腹が空いているのかどうかもわからない。 眠くもならない。 性欲も湧き上がってこない。 人間としてどうかしていると思っていた。 「私は壊れてしまったのか?」 そういう思いだった。 電車に飛び込むことも、屋上から飛び降りることも、「別にそれが何なのか?」普通にできそうな気がしていた。 でも自殺だけはしてはいけないとも思っていた。 自暴自棄になっている自分と冷静になっている自分。 両方の自分が存在していた。 世の中のことがよくわからなくなっていた。 「なぜ子供がいるのか? 成功するにはもう年を取りすぎたのか? テレビの仕組みって一体どうなっているのだろう?」 と取り留めもないことをクヨクヨ考えていた。 「私はおかしくなってしまったのか? 人間って何なのだろう? 別に死んでもいいや。 悲しむ人がいたっていい。 今この辛さから逃げ出したい」 「いや待てよ、辛いって感じるってことは生きているってことなのだろうか?」 そう思って、生きている自分をないがしろにすることは何とか避けていた。 やっぱり私も現代に生きる一人の人間なのだ。 死んだら元も子もない。 とにかく生き続けよう。 そんなことをグルグルグルグルと考えていた。 壊れた心のままで生きることを選択したのだ。 それでも憂鬱感が出た次の日にはやっぱり死のうと思うことが何度もあった。 そのたびに死んではいけない。 とにかく生き続けるんだ。 そう思い直していた。 |
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