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どこを見るわけでもなく口をポカンと開け、ひたすら夜がふけるのを待っていた。 やがて夜になってくると人の数が多くなり、ウォーキングをする人が増えてきた。 「公園ってこんなに人が集まるんだ」と思い、三十人くらいいる人の中に紛れ込んだ。 みんな早歩きをしてトラックを周回している。 私もそれを真似て一緒に歩いた。 特に健康を意識したわけでもなく、ただひたすら皆につられていただけだった。 そうして夜も遅くなり十一時くらいに差し掛かったところ、人がどんどん減ってきた。 人がウォーキングをしているのはせいぜい十時くらいまで。 十時を過ぎるとほとんど人気はなくなっていた。 それで私は歩くのをやめ、夜空をじーっと眺めていた。 「あ、ベガがある。 あれはアルタイルだ。 そしてこれはデネブ」 天文サークルで培った知識を参考に夜空の星を探していた。 懐かしい昔を思い出す。 「あの頃はバカを言い合ってみんなで星を見ていたな〜。 あの頃は楽しかった。 もう一度あの頃に戻りたい」 そんな気持ちが膨らんできた。 観測委員をしてみんなを観測所に連れて行っていた頃が懐かしい。 「今頃みんなどうしているかな」 そんなことを考えることが多くなった。 それで気がついたら二時を回っていた。 気がつくと体が寒かった。 夏なのに体が冷えるのだ。 これは耐えられないと思い、たまらず家に帰った。 それで公園にいた時間を考えてみると十二時間いた事になる。 よく公園だけで十二時間もいれたものだ。 特にすることもなく眠くなることもなかったので、ひたすら夜空を見上げていることができた。 しかし睡眠サイクルが崩れるのでもうやめようと思った。 |
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