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それでお金がなかったので、 家からバスを使わずに四十分くらいの道のりを憤怒しながら歩いて帰った。 帰り道の途中で、「もう私も終わった。もう死ぬしかない。誰も私のことを理解してくれないのだ」 という気持ちだった。 憂鬱感も出ていて、「本当にこんな人生くそくらえだ!絶対に死んでやる!」 そう思っていた。 しかし、一歩、また一歩と歩を進めるうちにどんどん虚しくなってきた。 私は何をやっているのだろうか。 母親にけんかまで売って実家を飛び出して。 このままいったら人生終わりになってしまう。 そしてやっぱり母親に電話をしようかと思っていたら、母親から着信があった。 このときは怒り心頭で頭に血が昇っていたため、携帯のバイブに気づかなかったのだ。 それを見て慌てて電話をした。 そしたら母親に「あんたそれはあかんわ〜」 「そんなことをしてどうするの〜」 と叱られた。 私は「ゴメンなさい、ゴメンなさい」とただひたすらに謝った。 母親の話を聞いているだけで涙が出てきそうだった。 私はとんでもないことをしでかしたと思い、唯一の理解者を裏切ってしまった。 奥さんを失って親までも失ってしまったら本当に頼る人がいなくなってしまう。 愛されるべき人からも見放されてしまう。 「ごめん、ごめん」と謝っていると母親も優しい態度に変わり、 「いいから帰ってきなさい。待っているからね」 と言ってくれた。 私はその言葉を聞いて嬉しかった。 あと一歩のところで数少ない理解者も失ってしまうところだった。 このときは母親に感謝だった。 うつになって離婚した私を陰ながら支え続けてくれていたのだ。 本当に母親ってありがたい存在だと思った。 その母親とは今でもよくショッピングに行く仲だ。 感謝してもしきれない。 |
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