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しかしある日、私の実家に一本の電話が掛かってきた。 それを私の母親が出た。 電話の主は奥さん本人だった。 電話の内容はこうだ。 「もうたまちゃんとはやっていけません。離婚してください」 私はなんだそれはと思った。 母親から二階に降りてくるように言われ、降りていったらそう言われたと私に伝えてくれた。 私は「ふーん」といいながらまた三階に上がったのだ。 「なぜなんだ。どうしてそうなった?」 たしかにおじいちゃんの法事のときはうつで苦しくて何もしなかった。 いや、できなかった。 奥さんの実家に行ってもずっとうずくまっているだけで下を向いていたが、「何か悪いことをしたか?」 そう思っていた。 でもおそらくそれが決め手になったのだと思う。 うつになってからいつか治ると信じ続けてくれていた奥さんを裏切ってしまった。 私もいつか治ると自分を信じていた。 でもなかなか治らない私に奥さんが見切りをつけたのだ。 私は最初それを聞いたとき、 「あぁ離婚かー。しゃーないな」 と思っていて、それほどショックは受けなかった。 残念ではあったが心のどこかで、 「いつか離婚されるかもしれない」 という思いもあったからだ。 実際、奥さんからは「離婚だ離婚だ」と言われ続けていた。 でも私はまさか離婚なんてするわけがないと思っていた。 |
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