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奥さんを軽く見ていたのではないか、自分でコントロールできると思っていたのではないか。 思い上がりもいいとこだ。 それからさらにけんかはヒートアップし、殴る蹴るの応酬を繰り返していた。 私は割と大丈夫だったが、奥さんのほうにはアザができることがしょっちゅうあった。 これは他人にばれるとやばいと思い、奥さんもそれはやばいと思ったらしく必死に隠していた。 幸い、顔とか手足とか見えるところに外傷はなく、腕とか太ももにアザができることが多かった。 一度足をキックしたときにものすごく腫れ上がったことがあって、 奥さんがワンワンわめくので、これは骨が折れたかもしれないという事件があった。 それで私も奥さんも青ざめて病院に行こうと言う事になった。 けんかで腫れができたと言えるはずもなくて、奥さんは階段で転んだと先生に話していた。 結果はなんてことはないただの打撲だった。 いや、なんてことはなかったのだが。 その日は塗り薬と痛み止めをもらって病院から帰った。 「帰りにタクシーを使う?」と奥さんに聞いたが、「歩けるから大丈夫」と言って歩いて帰った。 それからも大小様々なけんかを繰り返し、どんどん奥さんの気持ちは私から離れていった。 一方の私はというとそんな奥さんの気持ちも知らずに、二人は愛し合っていると夢ばかりを見ていた。 |
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