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引越しをして少し安心していたが、それでも私の病気が良くなるわけではなかった。 むしろ引越しの後遺症で悪くなったくらいだ。 それでもこれでもうどこへも動かなくていいという思いがあったので、ひたすら寝ていようと思った。 公園生活のときと体の調子はあまり変わっていない。 むしろ公園が遠くになったことで外に出る気力がなくなっていた。 そんな私はひたすら家の中でじっとしていた。 ただただ寝転がって天井を見ているだけ。 そんな日が何日も続いた。 秋頃だったからかなり過ごしやすく、布団も薄手のもので十分だった。 しばらく布団に入りながら一点を見つめていた。 別に楽しいわけではないがそうするより仕方がなかった。 しかしこのまま寝ていてもまたうつが悪化するかもしれない。 そう思ってちょっと行動してみようと思った。 机のない椅子をベランダに持っていって、日光浴をしたのだ。 陽の光に当たったほうがいいというのを思い出して、狭いベランダでずーっと椅子に座っていた。 太陽が東から西に移動していく。 そんな町並みを見ながらただただ眺めているだけだった。 それでも寝ているよりはいくらかマシに思えた。 私の引っ越したマンションは目の前が線路で、電車が五分に一回くらい通り過ぎる。 新快速なんかはすごいスピードだ。 ものすごい轟音を立てて疾走していく。 目で中の人を追ったりして遊んでいたが、目が疲れるのでやめた。 電車が何本も何本も通り過ぎるのをただひたすらぼーっと見ていた。 寝ているよりは時間の感覚が早く過ぎた気がした。 ⇒続き ⇒目次に戻る |
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