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なんとかご飯を口の中に運ぶ。 もぐもぐと噛む。 味ははっきりとわかるのだ。 うつ病になると食欲がなくなるばかりか味覚もはっきりしなくなるという人は多いが、私の場合はそれはなかった。 それが唯一の救いだと言ってもいいかもしれない。 体はむちゃくちゃしんどいがご飯は食べれるし、睡眠も取ることができる。 程度で言えば中症くらいの重さだっただろうか。 それでも体はかなりしんどいことには変わりないが。 押し入れをずーっと見ていることもあった。 とにかく押し入れを開け、中をずっと見ている。 引き出しを見ているのではない。 開けた押し入れ全体を見ているのだ。 ただぼーっと眺めていた。 全く意味はない。 行動がノロマになって固まってしまうのだ。 辛くて立ち止まらざるを得なかった。 「心が病んだだけで体の方にもこんなに影響が出るなんて。 やっぱり心と体は繋がっているのだな」ということを感じていた。 逆に「心が元気になれば体も元気になるのでは?」と思っていた。 しかし心が元気になる方法もわからず、歩くことも満足にできず、走ることなんてとてもできる気がしなかった。 ただひたすらベッドで寝ているか、一点を見つめてつっ立っている。 私にできることはそれくらいだった。 ⇒続き ⇒目次に戻る |
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