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私は東日本大震災の少し前から投資をしていた。 当時は会社を辞めたくて辞めたくて仕方がなくて、投資をすれば一攫千金を狙えるのではないかと本気で思っていた。 株・FX 関係の本を読んだり、ネットを見たり、メルマガに登録したりしていた。 勝てると信じ込んでいた。 明るい未来があると信じてやまなかった。 でも結果から言うと五十五万円の負けに終わった。 それでも最初は三十万円ほど勝っていた。 東日本大震災の前までは成績はうなぎのぼりだった。 でも一夜にして一転。 急に株価が下落を始め、為替は円高になっていき、あれよあれよという間にどんどん下降していった。 負債はみるみるうちに膨らんでいき、株とFX を持っているのが辛くなってきた。 負け越していてもまだ勝てる、いつか株価は上がると思っていた。 でも、そんな楽観的な投資ではうまくいくものもうまくいかなかった。 奥さんにやめろと言われるまでやめることができなかった。 当時は株をすることをイチャ株と呼んでいた。 これは夫婦でイチャイチャしながら株をすることだ。 それも勝っていたからそんな楽しい発想になっていた。 夫婦共々投資をすれば勝ちは二倍になると思っていた。 私は完全に浮かれていた。 奥さんから「もう我慢できない、一体どこまで負ければ気が済むのか」と言われた。 「大丈夫、株価は上がるから。FX もいつか円安になる」そう言い返していた。 今考えればそれは自分を信じたいだけの精一杯の言い訳だった。 奥さんの強い要望もあって、泣く泣く投資をやめることにした。 終わった時には五十五万円の負けだった。 自分はバカだと思った。 奥さんもほとほと呆れ返っていた。 別れるまでそのことを根に持っていた。 当然だ。 なけなしのお金を投資してすってしまったのだから。 このとき、投資で負けたショックで胸が苦しくなった。 まるで心臓を鷲掴みにされているようなそんな不安障害に駆られた。 胸が締め付けられる。 息がしにくい。 人生で初めて心の底からの恐怖を覚えた。 このときはうつ病の苦しみもあって、ダブルで苦しかった。 まるで追い討ちをかけられたような。 自業自得なのだが。 この出来事により、私はさらに寝込むことになってしまったのである。 ⇒続き ⇒目次に戻る |
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