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ついにそのときがきた。 二〇一一年三月十一日に東日本大震災がきたのである。 今でもそのときのことははっきり覚えている。 関西にいたのだが、揺れが長かったのである。 二、三分は揺れていたように感じられた。 当時はちょっと長い地震だなと思っていたのだが、調べてみると、東北で震度七というではないか。 これはちょっとただ事ではないのではないかと思っていた。 帰ってニュースを見てみると、船や家、車などが流されていた。 これには絶句した。 ありえない光景がテレビの中で起こっていたのである。 どのチャンネルに回しても叫んで逃げ惑う人や津波が押し寄せてくる映像が流れていた。 しばらく呆然とした。 今まで普通の日々が流れていたので、あの光景は目が釘付けになった。 ニュースキャスターも淡々と話していたが、心の中ではすごく動揺していたのだろう。 特に印象深かったのは、親を亡くした子供の姿を捉えた映像だった。 流された方向に向かって、ずっと「お父さん、お母さん」と叫んでいた。 泣きながら遠吠えのように叫んでいて声をからしていた。 震災で家族を失った人も多いと思う。 家や車を流され、二重ローンに苦しむ人だっているだろう。 何だかとてもいたたまれない気持ちになった。 ⇒続き ⇒目次に戻る |
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